濃霧

exterior2006-12-12

友人宅を訪問した。お茶をいただき、夕飯までいただき、話し、詩集を読ませてもらったいるうちにすっかり遅くなった。お暇しようと靴を履いて、玄関の扉を開けると濃霧。すっかり包まれている。駅まで歩く道すがら観察していると、本当に一寸先も白い靄におおわれ、街灯やクリスマスの電飾が反射して視界全体がまんべんなく明るく、それぞれの電球なりの色に染まっている。街全体がぼんやりと明るく、なんていうのはこのことかと思う。空気がとろりとしていて水中のようだ。自分の内臓とか体の中が外に出てきて外と内が逆転しまったような印象でもある。きっと今この景色を目にしている人は多かれ少なかれ不思議な感覚に包まれているんだろうと思うと、『マグノリア』の最後を思い出した。駅のホームの端に立つと向こう半分くらいは隠れている。電車が来て、三駅離れた地元に着くと霧はほとんどはれていた。

最近読んだ本、筒井康隆『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』