秘宝館のあと

秘宝館を出る頃には暗くなっていたので、調べておいた麦酒蔵に向かうが定休日。第二候補の都吉で鰤、蛸、薩摩揚げなど魚介を中心にした料理をいただく。どれもシンプルで美味しい。夜は二見浦のまるやに宿泊、途中で買ったお酒を少し飲む。
翌朝9時に宿を出、すぐ近くの夫婦岩を見物。駐車場のおじさんが怪しいが、試食でいただいたあおさの味噌汁がおいしい。岩は思っていたより小さく、険しい岸壁にへばりつくように建てられた神社から眺める。その後、伊勢神宮に向かう。駐車場から参拝道へいたるまでにおはらい町と呼ばれるエリアがあり、かなり整備されている。おかげ横町で豚汁と高菜のおにぎりを食べ休んでから参拝へ。今回訪れたのは内宮のみだが、感想としては「何もない」ということ。おはらい町をぬけ、宇治橋を渡るとすぐに幅広の砂利道が続く。周囲は杉やシイなどの巨大な古木が回りを囲んでいるが、山地というわけでもなくどこか奇妙な景観である。五十鈴川では禊を簡略化した行為として手と口を洗う。12月の川の水は比較的冷たく、しばらく手が痺れる。参拝道沿いには御守などを購入する神楽殿や、別宮など数棟の建物が見られるが、全長から考えると数は少なく、ほとんど何のために存在するのか判らないため素通りするしかない。なので二つの鳥居をくぐって正宮に辿り着くまでの参拝の過程は非常に簡素ともいえる。正宮は式年遷宮のためやはり新しく、塀や御簾のようなもので向こう側は隠されている。昔の人が何十日も歩き最後に辿りついた場所でこの同じ光景を目にしたとき、これが目的地だったとすんなり納得できたのだろうか。逆に何もない、空白の空間、乾いた空間だからこそ、どこか彼岸的な異常な想像が喚起されたのかもしれない。どうも靖国との関連で考えてしまいがちなので、いずれ決着をつけたい。
伊勢神宮を出たあとは鳥羽水族館で展示とショーを楽しむ。「トドのパフォーマンス笑」は全てにオチが用意されていて安心の笑い。多足蛸は、アンモナイトの異常巻的な面白さがある。休憩所でコーヒーを飲み、水族館近くの食堂で食事をする。鳥羽からそのまま高速に入り、降り出した雨の中、三時間ほどで大阪に着く。