元祖国際秘宝館

秘宝館全景

ついに、ついに、秘宝館訪問。(抑えきれずネタ満載です。行く予定のある方は読まない方が楽しめます。自分の復習用です。)

昨日は朝9時なかもず集合、30分遅れで到着し、友人Tさん、Sくんと合流、レンタカーで阪和道から三重に向かう。昼過ぎには到着し、市役所で親切なガイドを聞き、河崎と呼ばれる蔵の多いエリアへ。サイドミラーをすこし擦るトラブルもありながら、駐車し、「つたや」で伊勢うどん初体験。からいけど麺が柔らかいのが嬉しい。蔵はレストランや和道具などの改造されており、古本屋ぽらんで少し物色。
その後早速、県道37号線から秘宝館を目指す。道路沿いに東海地方では有名な名物「秘宝おじさん」の看板が誘ってくれるという噂を耳にしていたので、早々と先走りながら目を皿のようにして走っていると、川沿いに蔦で見づらいながらも「お色気の秘宝館」の看板が。期待も最高潮のまま、遠くに秘宝館の尖塔らしきものが見えてくる。同行のTさんはここで早くも絶叫気味である。今となっては不必要なまでに広大な駐車場の中央に車をとめ、外観がもっとも美しく見える地点を探しカメラにおさめる。建物の外回りで笑う秘宝おじさんとの記念撮影も各々済ませ、館内へ。入り口では女性器さながらの実物巨大貝が濁った水槽の中からぼくたちを迎えてくれる。建物は二階が受け付けになっており、そこに上がる螺旋階段には目次のように展示内容を紹介する手描きのビラがずらり並んでいる。さわやかなところで「キリンの挨拶」「スカンクのフラダンス」から始まり、「SEXトンネル」「土人の割礼儀式」、果ては「20代から40代男性の精液」まで。すでに目眩がする。階上では頭髪が木になったダフネのような姿をした女性が待っている。自動ドアが開くと女戦士アマゾネスが二人両脇で構えているがもちろん、盾と矛は女性器と男性器。受け付けの窓ははハート側のかわいいデザインでおじさんが一人座っている。一人2000円の入場料を支払い、早速順路を進む。(本当なら約一万点の展示物すべてをここに記録したいが、記憶の整理も出来ていないし、特に印象に残ったものだけを以下に記す。他所なら明らかに主役級の品がここでは脇役になってしまう。)
一号館の手前にはセンサーに反応して突如音楽を奏でる楊貴妃がいる。注目すべきは二胡のような楽器の造形で、先端が男性器、響かせる土台の部分が女性器なんである。他に特に異常な部分が見当たらないだけに、導入としてはインパクト大。一号館は一応ギリシア神話と題されているが、自ら冠したお題からも自由なところが秘宝館らしい。アマゾネスふたたび、ヴァイキングヴァイキング2(リンゴ・スター似)など。なかでもサロメの可動人形は秀逸。ボタンを押すと半裸のサロメが生首をのせた盆を片手に回転する。なんとも音楽が心地良いが、サロメの表情が日本人に見えたのはぼくだけではないと思う。二号館はアニマルパラダイスでYUKIの「センチメンタルジャーニー」のような鮮やかな牧場で大小の動物が奔放に結合している。牛、馬、トド、「ワレメちゃん」のパネルがかわいい。馬はチヂンでいるとき46.0cm、コウフンしているとき92.2cmだそうである。鯨の雌雄の性器は名前もあるのに、またも水が濁っているていうか腐っている。二号館のおしまいではケースに入ったスカンクが三匹おり、ボタンを押すと放屁し、尻尾を振って踊り出し、観客を脱力させる。
三号館へは滑り台と階段で下りることができる。滑り台の行き着く先には巨大女性がそびえ、乳首を押すと目が激しく光る。鑞人形の中ではネズミ拷問攻めが凄い。腹の上にネズミの入った檻をのせ、上から熱した石を置くと逃げようとしたネズミが臓物を食い破り始めるという想像を超えた過酷なもの。人形だけでなく、動物もその描写はかなり細やか。鑞人形ゾーンの次はいよいよ陰部神社。おみくじを勢いよく三人とも購入し、各々の干支の記された箱からひくと、全部同じ。ほな箱分けるなよ。突然揺れ出す廊下や上下左右乳房と性器でできた回路を通り、性教育コーナー、数々の可動人形の中でも、大人の遊具はずば抜けて恥ずかしい。新たな自分を発見できる。その横の怪しい個室はあえて深く検分せず、六地蔵のような「いのちの誕生」妊婦七人像を味わう。ボケボケのポルノ映画館では何故か女優がノクターンを弾いている。ニ本目のポルノは女優が恥ずかしい言葉を言わされ、自らの体験を憤慨気味に語る。あれほど恥ずかしがっていたのに、いざ行為に及ぶときはあっさりしたもんである。股ぐらの形をした門をくぐると、その奥は性病やエイズなどの知識系展示。案外ここがグロテスク度最大かもしれない。館内随所に置かれている鯨の男性器とやたらに細長い牛の男性器の干物は何を伝えようとしているのか。童話をベースにした里ゾーンでは巨大「白雪秘め」が半裸で部屋の半分を占領している。日本一のホモ太郎、鼻先爺など荒唐無稽なオブジェを割と普通に観れてしまっている時点で何かを既に失っている気がしなくもない。その他●拓やカーマスートラ、ホルマリンなど好ポイントは多いが、ひとまずこのあたりに留めておきたい。ぼくたちを最後に待っていたのは、他ならぬ受付のあのおじさんであった。一緒に写真に写って欲しいという依頼を快く引き受けてくれたおじさんに、調子に乗っていくつか質問をするとヒートアップし、話はどんどん加速、降下していき、おじさんは文字どおり全身を使って思い出話を語ってくれた。お土産までいただき、総滞在時間三時間ほど、秘宝館をあとにする。

秘宝館を語るポイントはいくつかあると思うが、「可動展示」「実物展示」「医学展示」「順路のアップダウン」などは押さえておかなければならないだろう。とくに今回新鮮に感じたのは「可動」である。今回訪れたときには既に壊れていたものも多く、最盛期には倍以上の可動箇所があったと考えられる。隠れていたものが見えてくる瞬間、期待を裏切らない緊張の溶解、動きとともに現れる効果音や民族音楽風のBGM、それらを何度でも試せる反復往復運動など。

元祖国際秘宝館も既に閉館が決まっているそうだ。時期は未定だが早い場合は三月の可能性もあるとのこと。展示品の行方も引き取り手のない現段階では不透明のまま。興味のある方は一刻も早く訪れることをすすめたい。馬の交尾ショーは土日に見られます。