するめクラブ

 つまらなく見える町を、
 なんとかおもしろがろうとする努力。
 つまらなく見える人生を、
 なんとかおもしろがろうとする努力。
 このふたつには、たぶんほとんどちがいがない。



今日は三つのことが完了した。
まず、恩田陸ネクロポリス』を読了。
三軒茶屋TSUTAYAで表紙を見たときにノックアウトされた。
バベルの塔のように、中央に向かってゆるやかに傾斜が続く、
円錐系の丘陵地。
坂道に沿って、煉瓦作りの古風な建物が続く。
ここが物語の舞台。
V.ファーと呼ばれる島国は、日本が植民地化し、英国風の文化が残る、
奇妙にハイブリッドな場所。
そこには世界中の文化人類学やらの研究者らが垂涎のネタ、
「ヒガン」と呼ばれる行事がある。
それは、島の北西部にある「アナザー・ヒル」という場所でのみ行われる、
死者との再開の季節を指す。
物語はこの「ヒガン」を初めて体験する若い研究員の男性の視線で進む。
そこでは、死者が次々と現れ、
夜な夜な住民たちとの怪しい行事に参加させられ、
酒に酔っているんだか、場所に酔っているんだかわからない、薄明の時間が続く。
読者はあたかもフィールドワークに一緒に出ているかのように、
未知の出来事に遭遇し、分析し、謎を解こうと試みる。
まるで旅行会社のミステリツアーに参加したように、
奇妙にあつらえられた空間。
作者特有の趣味の陳列室のようで、
結果としてなじめるかどうかは趣味が合致するかどうかにもよる気がする。
「謎を解く」ことをカタストロフィーとするのではなく、
解く過程に唯一無二の喜びを見出す無限回廊
次は『QA』か『ユージニア』を読みたい。


もう一つは、ドラゴンクエスト8。
いつ始めたのか、もう記憶にない。
半年くらいはやってた気がする。
いやー戦った。
それにしてもギガデインとかって覚えられへんのか。
あと、昇天魔法みたいなやつとか。
戦うよりフィールドを歩くのが楽しかった。
どこまで行っても地面が続くのが。
最後、神鳥レティスが、
「この名前もあなた方人間たちがつけたものです。
 別の世界ではまた、別の名前で呼ばれていました。
 そう、ラーミアと。」
っていうセリフにぐっときた。
ここでこういうスター制度というか、
他のドラクエの世界観とさりげなく繋げるやり方がにくい。
しかしラストのミーティア姫との逃避行は解せなかった。
勇者はまた次の旅に出るやろ普通。
次はマザーにチャレンジしたい。


最後は、『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』読了。
伊豆とか、清里とか、サハリンとか、ホノルルとか、
世界から忘れられた(つつある)場所に、
村上春樹都築響一吉本由美の中年3人が赴いてうろうろするだけ。
村上春樹がサハリンの海岸で横になって、寝ころんでいる写真がすごくいい。
冒頭の一節は、都筑先生による後書きの一部。
そう、眼差しで世界は変わる。
毎日見ている場所でも、人でも。
10年後の夢を語るより、目の前のホームに降りることの方が楽しい。
それでいい。