二つの青春映画

今日観た映画『69 sixty nine』(監督:李相日)
天国の口、終りの楽園。』(監督・脚本:アルフォンソ・キュアロン
公開当時見に行きたいと思いながら結局行かなかった。何年か前、西灘劇場がまだ潰れる前、二本立ての内の一本として上映してて、あのときも看板を見上げてやってるんやと思いながら見に行かなかった。今日昼にテレビをつけて目に入ったのでようやく見る。単純に言えば物語はルイサ-フリオとテノッチの対比が様々なテーマと響き合いながら進む。死と生はその最も中心的な部分を背負っている。この映画はロードムービーであり、現在の時間から第三者が一年前の夏を語る形で始まり終わる。つまり、輝かしい若者たちの夏という光景を描いていても、「フリオはこのとき実はこう感じていた」「テノッチはその数カ月後〜〜した」などの時制が入ることで、常に思い出されるべき過去として観る者に意識されてしまう。しかもその回想のナレーションの多くに死や別れイメージが滲んでいる。三人が辿り着いたビーチで出会った漁師が数年後には海を離れホテルの清掃係になったこと。ルイサが二人と別れて一ヶ月後に癌で死亡したこと、その後二人もそれぞれの彼女と別れていたこと。71年ぶりに政権が移譲されたこと。彼らがその後に体験する別れや死と彼らをとりまくとりたてて人生に関与していないように見える時代の事情が、ビーチやメキシコの広々とした明るい風景、そしてフリオとテノッチの無邪気さと並んで対照的に語られる。3人は目前のことに精一杯で、銃を持った人、結婚式を挙げているらしき人、様々な人が彼らが走らせる車の脇を通り過ぎていたことに気付かなかっただけなのだろうか。ルイサはこんなに無邪気で自分の死を和らげもせずむしろそれをより気付かせるだけの2人と何故何日も旅をしたのだろうか。3人を追うカメラは時折、3人から外れて風景や道すがら出会う人々に焦点を移していく。だが最期には3人へと戻っていく。偶然辿り着いた「天国の口」というビーチが実は自分達にとっての避けられない終りであることに、それでも彼らは気付いているように見える。

今日読んだ本『暗闇の中で子供』(舞城王太郎


(宣伝)京都で上映会やります。興味のある方、これを機に京都に来たい方、是非。
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

彩都IMI大学院スクールモーションピクチャー講座専攻生による
映像作品展を開催します。

● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

  も〜〜〜っ……ピクピクッ!!

   2006.11.4,7,8

 http://web.iminet.ac.jp/users/picpic/

● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●



◆ライブイベント◆
2006年11月4日(土)16:30open/17:00start
@わからん屋 \500yen(with 1drink)

短編映像の上映に加えて、音楽・パフォーマンスでお迎えします。
秋の夜長の、ひと味ちがった映像ライブイベントです。


◆上映会◆
2006年11月7,8日(火,水)15:00〜22:00
@id Gallery

電車で起きたささやかな事件から、絵馬、黄泉の国まで。
縦横無尽に広がる短編映像の世界をお楽しみください。



わからん屋
京都市中京区西木屋町六角北西角シャイン会館3F
http://www.baumkuchen.net/~ue/wakaran/
阪急電車河原町駅より木屋町通り北上徒歩7分
京阪三条駅から西へ徒歩約5分

アイディ・ギャラリー
京都市中京区夷川通寺町西入南側
http://www2.ocn.ne.jp/~interdes/Gallery.html
地下鉄東西線市役所前駅から徒歩5分
・京阪丸太町駅から徒歩7分


お問い合わせ先 phone 06-6816-4563
彩都IMI大学院スクール 〒565-0826  大阪府吹田市千里万博公園1番1号 万博記念ビル 1F