180゜の積乱雲と恐い夢

昨日は高校の同窓会があった。夕方五時前に友人と待ち合わせ(このとき友人と一緒にいた男性に「アキハバラにいそうですね」と言われる。見た目だけで。)堀江で喫茶店に入って、遅れて会場に到着。100人越えで、いかにも同窓会な雰囲気の空間。かつてよく遊んだ人とも、そうでない人とも、話す。喫煙者がほとんどいないことと、進学組が多い。そういう意味では、殺伐としたところがなかった。一次会終了後、難波に戻って朝までバイト。今朝八時頃帰宅。

現在、午前四時過ぎ。おかしな夢を見て目が覚める。夢の話をするのは嫌いだし、する人も何故か好きじゃないんだけど、あまりに風変わりというか逆に典型的なホラー映画のようだったので書く。
電車に乗っている。かなり田舎を走っている。向かいの席には同僚らしき人が乗っている。この辺りで彼と仕事の話などをしていた気もするが、覚えていない。どうやら仕事で遠方にに来ているよう。駅に到着。「目的地までは3キロらしい」「遠いしタクシーつかまえよう」「時間あれば帰りは歩けばいいし」というような会話をして、公衆電話を探しながらとりあえず歩き出す。駅を出て左に曲がると左手に大きな空き地がある。緑色のフェンスに囲まれた広い空き地。それを横目に通りを歩く。気付くと足下に糸ミミズがいる。鋪装されていない道路に一匹。よけて進むともう一匹いる。またよけて進む。少し前方を見ると点々と何匹かいる。よく雨上がりの晴れた日にうっかり路上に彷徨い出て、立ち往生しているミミズをみかけるが、あんな感じ。だが、角を左に曲がると、そんな日常的な量ではない糸ミミズが道路をびっしり覆っている。よけられる量ではないので、踏みつぶしながら歩くしかない。(この辺りで目に入るものが昭和初期のような時代がかった色を帯びて来る。)顔をあげると、通りの両側に奇妙な建物が並んでいる。ボーリングのピンを縦に引き延ばしたような形をしている。初め、小さいものが見えたので、こんな田舎でもボーリング場があるんだと思ったが、前方に二、三階建てほどの大きさもあるものも見えたので、そうじゃないのか、と考えを改める。よく見ると茶色い土でできている。ピンの根元の部分には扉のような開閉部分がついており、どうやら何かの建物のようだ。連れと顔を見合わせる。ふと後ろを見ると、住民らしき中年の女性がいる。「このミミズと建物はいつもこんな風なんですか」と尋ねても返事をしない。忌忌しい物でも見るかのような目でこちらを凝視している。奇妙に思いながら歩き進むとすぐに町外れに到着する。目的地はここからまだかなり先のようだ。ちょうど通りの右側に電話があったので、この辺りまで来てくれるタクシー会社を問い合わせてから、電話をかける。「今●●にいるんですが」と言うと、電話先の男は何か驚いたような声を挙げ、そのまま電話を切ってしまう。再び同僚と顔を見合わせる。
気が付くと、いつのまにか目的地に到着している。山の影に隠れた薄暗い茂みの中の一軒家。比較的新しい。ここに一体どんな仕事をしに来たのかは解らない。だが既に仕事どころではなくなっている様子。この家にまつわる強烈な夢を見たからかもしれない。子ども、声とぼんやりした姿だけの子どもが「今日ぼくは死ぬ」と繰り返す夢。その子どもがこの家のどこかに隠されていることが、直感的にわかる。同僚とともに、風呂桶の中や二階の押し入れの中などを探す。一階の座敷き、かつて食事を配膳していたらしい場所に何かおぞましい存在があることが、ぼくにだけ解る。一人、座敷に向かい襖を開けると、肌色をした渦の中に無数の人の顔が見える。子どもの描いた絵を見ているような、恐ろしいだけではない何か。瞬間、夢の中の子どもは、ここに居る何か恐ろしい存在、ひょとしたらここに住んでいる(いた)住人によって、かつて喰われたんだということが解る。狂信的なその存在は、人を喰い続けている。宗教的な目的を達成しようとしているのか、あるいはそれによってしか生存できないと思っているのか、理由はよくわかならい。いずれにせよ、かつて喰われたはずの子どもが、その恐ろしい存在の頭の中で生き続けいるせいで、存在は死なずに生きているのだ。その子どもの「今日死ぬ」という言葉は、恐ろしい存在とともに果てることを決意した、ということを意味する。だが、子どもは醜くも生に執着し、死ぬことを取り消す。存在は生き続ける。そのことを閃くように理解する。目を開けるとどうやら気絶していた様子。さきほどの座敷の隣の部屋、同僚が心配そうな表情で起こしてくれる。「隣の部屋で恐ろしいものを見た」と言うと、彼は一緒にもう一度開けてみようと言う。廊下に出て左に周り、隣の部屋の前にたつ。襖を静かに開けるとそこは、気が抜けるほど明るい普通の和室。右手には押し入れ、左は土壁、奥の障子越しに柔らかな光が入っている。だが、この場所に何かが居ることははっきりとわかる。右のまん中の畳を剥がしてくれと、同僚に頼む。剥がすともう一枚畳があり、その中央に赤い柄の包丁のようなものが突き刺さっている。彼にそれを抜いてくれと頼む。抜くと、跡から黒いものが広がって、、、、

とまさにクライマックスで目が覚めてしまった。短い夢な気がしたが、書いてみると結構な量だ。ボーリングのピンの部分はゆうべ空けたワインのボトルに似てなくもないが、それ以外の部分は最近関わった風景とは何の脈絡もない。急にメスで切断されたようだ。夜がぼんやり明けてきた。