じんもん学科

昨晩から京都に泊まっていたので午前中から精華大図書館に行く。マンガの書棚は想像よりは少なかったが、AV資料が豊富。'Beginnings of Animation'とかいう外観からは中身の全く判別できないビデオも気になるが、迷わず『天使のたまご』を選ぶ。外部のない限定された空間という設定は『うる星やつら2〜』と近似するが、図柄が全く異なる。少女の髪のアニメーション(アールヌーヴォーを連想させる)は偏執的ですらある。神話とも終末後ともとれる世界に広がるのは近世ヨーロッパの町並み、建築物である。街路や教会、噴水など。押井のその後の作品ではこの背景画に描き込まれる世界観への比重がさらに増す。現代の東京の住宅街、高層ビルの並ぶ都市、チャイニーズゴシック..。世界観を提示する際の建築の果たす役割、効果について考えること。費用対効果。天使のたまご [DVD]

午後から友だちの卒業制作展を観に京都のArtComplexに行く。さすが優秀賞をとったというだけあっておもしろい。グラフィックデザインにおける「質感」とは何かという問題。あくまで被写体、カメラやスキャナで切り取った対象に付帯する質感であってデザインされた印刷物の質感ではないということ。興味深かったのは、評価基準が「コンセプト」「プロセス」など複数の判断軸に割り振られているということだ。各々が現代美術の作品概念と対応しているような気がしてならない。コンセプチュアル・アート、「ワーク・イン・プログレス」(川俣正)。この問題は作品制作の方法論の設定と深く関わってくるだろう。

さらに大阪に帰ってアップル・ストアでのライブに行く。パソコンはそれだけではいわゆる「楽器」にはなりえないのではないか。均一な音を限られた媒介変数を設定することによってしか配置できない。関数でしかない。そういう意味でテルミンは「電機」であり「楽器」である貴重な例である。インターフェイスとパフォーマンス性(アクション)の問題。