子どもらよ

全興寺へ。JR平野駅を降りて南へしばらく歩く。商店街を少し入って、南へ折れると昭和感漂う比較的新しい建物があり、そこが目的地。「おも路地こちら」と書いてある。土日は路面電車の駅とか、駄菓子博物館とか、紙芝居とか色んな催しが開かれているのが、あいにく平日なので、おばちゃんがバルーンアートに勤しんでいる姿を尻目におそるおそる境内へ侵入する。入るとすぐ、1メートル位の石の塊があって、何か?と思うが、現代風仏像らしい。ジャコメッティみたい。西の入り口から入るとすぐに地獄堂に出る。地獄堂に入る前には現世の罪を判定する機械があり、二択で十問、選ぶとゴーンと音がして「極楽ゆき資格あり〜」と言われる。言われても。地獄堂は小さい祠になっており、お腹が空洞になった奪衣婆や、閻魔大魔王、住人の裁判官らに囲まれる。ドラをたたくと鏡を模したモニターに映像が写し出され「ノロイ」みたいな仮面が喋り出す。地獄を表した絵巻を用いて、地獄へ落とされるとはどういうことか、どんな手順か、どれほど恐ろしいかを伝える内容。最後の文句「こどもたちよ、生命はたった一つきり」にうなずく。地獄堂の奥はペットのお墓や庭があり、涅槃堂がある。珍しいらしい総ガラスの涅槃像が水面から半身突き出すような形で浮かんでおり、照明の色がピンクから青などゆっくり移り変わる。ガラスと言ってもかなり荒削りでほとんど単なる楕円に近い像を、静かに見つめ心の中に自分だけの涅槃像を思い描くという主旨。「アジアの現代」みたいな展覧会でありそうなインスタレーションぽい。「ほとけのくに」は四国八十八ケ所の寺院から本尊を集め中央にステンドグラスの曼陀羅を配した半地下の施設で、堂内全体が大きな水琴窟になっているのが面白い。手すりには八十八ケ所で集めた砂が入っているという凝りよう。中は物凄く寒い。他にもペットのお墓やお稲荷さん?や、地獄の釜の音が聞こえる石の穴(顔を突っ込む、シューという音)、水掛け不動、マニ車などがあり、レジャー感満載の寺。無料だし週末にもう一度来たい。
寺を出て隣の喫茶店(茶屋)で珈琲をのむ。平野に関する資料が並んでおり、手にすると、どうやらこのミニ博物館による町おこし運動は十数年から始まったらしく、各地で行われている同様の運動の中でも比較的注目されていたよう。HPにもあるが「観光化して人を呼ぶのが目的では無く、住民自身が楽しみながら地域を再発見しようとする試み」というのは納得できる気がする。平野に住んでいる姉に感想を聞いてみたい。
茶店を出て商店街の中のいくつかのミニ博物館の脇を通り、杭全神社を回って駅へ戻る。mon-ami でハンバーグを食べて歩いて新今宮から帰宅。