地と地

今日観た映画『うる星やつら オンリー・ユー』

『プリンス&プリンセス』(監督ミッシェル・オスロ)まず影絵であるということは基本的に遠近を伴う動き(カメラに対して垂直以外)はない。人物も背景もスクロールのように地平線の上を滑る。今日観深いのはその動き方が題材(エジプト美術、浮世絵など)によって様々に変化することである。「少年といちじく」では体はカメラに向き、頭は横を向けという指示するシーンまで描かれる。王が座り、部下が居並ぶ様子はエジプトの壁画の再現である。しかし題材をそっくり再現することが意図ではないようだ。「泥棒と老婆」では北斎のような画を描きたいと登場人物に宣言させつつも、その描写の多くは「浮世絵的」ではない。むしろ折々で句を詠むという行為や「風景画」という存在の総体に対する嗜好が現れているような気がする。もう一点。「魔女」の図書室のマーブル模様や、「少年といちじく」の石盤のような背景画。制作システム上人物描写は簡略なものにし、背景へのかき込みに専念してきた日本のアニメとは全く異なる。何も描かれていない一枚の背景のテクスチャや色が伝えるもの。ノルシュテイン、イワン・イワノフ=ワノーの『ケルジェネツの戦い』を連想する。